現地駐在員が教える中国赴任にむけた準備のススメ

執筆者: 利墨(上海)商务信息咨询有限公司 逢坂興昌2020/02/19

今年4月の赴任に向けて準備をしている方も、この時期は多いのではないでしょうか。些細な内容ですが気になることは意外とたくさんあり、その都度現赴任者に聞くのも気が引けてしまいます。
今回は駐在員が赴任する際、対応したことをもとに、「準備すべきこと」をチェックリストにまとめてみました。知っておくと便利な情報も含まれていますので、是非参考にしてみてください。駐在までの「不安」を少しでも取り除いてもらえればと思います。

①申請・お手続き関係

本項目は基本的に会社からのサポートがあると思いますので、私が実際に対応した内容を抜粋してご紹介いたします。
注意点は、平日役所に行って手続きが必要なもの、書類の取得まで2週間かかるものがあるので、早めの手続きが大事だということです。また、証明写真が必要になる書類が多いので、事前にまとめて撮っておくことをお勧めします。

<申請関係チェックリスト>

パスポート 申請してから受領まで約1週間必要です。
パスポートの申請から受領まで(外務省HPより)
卒業証明書 学校によって受け取り日数が異なりますので確認が必要です。受け取りが当日可能な学校や、複数日かかる学校もあります。郵送取り寄せ可能な学校が多いです。
学位の記載が必要なので、記載されてない証明書の場合は学校に問い合わせると対応してもらえます。
戸籍と同じ名前で発行してもらう必要があるので、名前に旧字のある方は注意してください。
渡航証明書
(犯罪経歴証明書)
申請してから受け取りまで約2週間必要です。
渡航証明(犯罪経歴証明書)の申請について (警視庁HPより)
予防接種 渡航前に指定の病院で2回接種必要です。1回目と2回目の間を最大4週間空ける必要があります。なお、渡航後、半年後も一度接種を推奨されています。
住民票を抜く 出国2週間前からのみ手続き可能です。2週間以上前に行くと手続きしてくれない場合がありますので注意が必要です。
ビザ 就業・就労ビザの種類とその取得方法 :中国(ジェトロHPより)

②仕事関係

「引き継ぎ」は各企業、各職種によって異なると思いますので、本項目は簡単にまとめております。特に忘れがちなのは日本よりも情報収集が難しいところです。中国現地では新聞や雑誌などの紙媒体での情報が限られますので、インターネットを活用した情報収集へ事前にシフトすることをお勧めします。
また、中国でも日本語で行われる無料セミナーが開催されています。交流会を兼ねているセミナーもありますので、不安を解消するためには、事前にセミナー情報を集めて赴任時に参加できるように情報収集するのもの良いと思います。

<仕事関係チェックリスト>

中国語学習
現在の引き継ぎ、挨拶(日本)
中国の引き継ぎ
会社レンタル品返却(会社携帯電話、ノートPC、タブレット等)
紙資料のPDF化、共有ファイルへの保存
ネット新聞、雑誌、本
中国セミナーの情報収集(経済関係、人事労務、与信等)
中国与信セミナー情報

③プライベート関係

申請手続きや仕事の引継ぎに追われ、忘れやすいのが、プライベート面だと思います。持参物については基本的に現地で調達ができるため、手続きを最低限済ませておけば問題ありません。しかし、本項目はやることが特に多く、かつ基本的には自己責任なので、私は一番「不安」でした。抜け漏れ防止のためや、あればよかったものを中心に本項目の内容を多めにご紹介いたします。「不安」の解消にお役立てください。
人や地域、所有しているもの等によっては異なる点もあると思いますが、単身で赴任した場合を想定し、まとめていますので予めご了承ください。
※ご家族で引っ越しをする方は、お子様や奥様のお手続きなどが発生いたします。また、自家用車や持ち家がある方は、各お手続きもお忘れなく。

<プライベート関係チェックリスト>

家の手続き
(解約手続き/家・光熱費・NHK等、引っ越し手続き、粗大ごみ)
普段捨てない「粗大ごみ」は意外に手間がかかります。日時指定が必要な地域もあると思いますので、早めの手続き、早めの断捨離が必要です。ほかにも引っ越し業者等を上手く活用するのも一つの方法ですが、3月は繁忙期のためこちらも早めの対応が必要です。
郵送物 私は荷物を最低限にしてハンドキャリーしましたが、航空便、船便などを使うのも一つ手です。船便の場合は時間がかかるので、急ぎで必要なものはハンドキャリーや航空便で対応していきましょう。
銀行
(ネットバンクの開設)
振込、口座残高確認等がインターネットで行えるので便利です。
開設まで約2週間必要です。
クレジットカードの
有効期限確認
Alipay、WeChatpayでの電子決済が主流のため、クレジットカードを使う場面は少ないですが、もしものために持っておくと安心です。比較的使えるお店が多い「VISA」、「Master」をお勧めします。更新の受け取りに本人確認が必要なカードもあると思いますので、有効期限の確認もお忘れなく。
日本の中国銀行
(BANK OF CHINA)開設
中国到着直後の数か月は、中国元が足りなくなる可能性があります。
日本で中国銀行口座を開設し、口座の中に日本円を入れておけば、中国現地の中国銀行ATMから中国元を引き出すこと(日本円から中国元に両替)が比較的手数料を抑えてできるのでお得です。口座開設まで約1か月必要です。
※中国現地で開設した銀行口座にある元は、年間10万元までしか日本円で引き出せないため、日本円が欲しいという駐在員が多いです。中国元が必要になるケースは最初のうちだけかもしれません。
両替 中国到着後は手続きの関係から、すぐには中国の銀行口座が開けません。最低1か月生活できるぐらい準備しておくことをお勧めいたします。
運転免許書 更新期限が直前の場合は、事前更新可能です。
更新期限まで余裕がある場合は、一時帰国の際に対応すれば問題ありません。期限の確認をお勧めいたします。
運転免許 (外務省HPより)
各種住所変更 家を解約・引っ越しをする方が多いと思います。郵便物など、各種登録している住所の変更をお忘れなく。
携帯電話
(SIMロック解除/解約手続きorプラン変更/中国プリペイドSIM)
日本3大キャリアを利用中で、今までの利用していたスマートフォンを中国でも引き継ぐ方は、「SIMロック解除」をお忘れなく。
中国到着後すぐに携帯電話の契約ができない場合があります。中国ですぐに使えるプリペイドSIMを事前に購入しておくとスムーズに移行ができます。
解約手続き、電話番号預かり、などは空港やネット経由で対応可能です。事前に確認しておきましょう。
VPN
(SIMロック解除/解約手続きorプラン変更/中国プリペイドSIM)
Google全般、LINE、そのほかSNS、動画配信サービス等は、VPNがないと使えません。中国到着以降の場合、VPNのサイトに入れない可能性もあるので、事前に契約することをお勧めします。
病院(特に歯医者) 海外旅行保険に入る予定の方が多いと思います。契約内容によって費用負担が異なります。ご契約確認と、赴任前に一度受診することをお勧めいたします。
常備薬
(風邪薬、下痢止め等)
主要都市であれば日本語対応の病院もあるので、あまり心配しなくてもいいですが、日本でいつも使っている薬を持っていくと、いざというときに便利です。
消耗品
(のど飴、柔軟剤、消臭剤、歯磨き粉等)
項目として挙げている消耗品は、割高だったり、種類が少なかったりします。
もちろん現地でも購入できますし、一時帰国の際に購入してもいいと思いますが、気になる方は持参されることをお勧めします。

事前の情報収集をすることで「不安」を取り除くことはできましたでしょうか。取引先についても事前に情報収集することが、安心かつ安定的な取引基盤の構築につながりますので、まずは赴任後与信セミナーに一度足を運んでみてください。駐在員生活の良いスタートが切れることを心より願っております。

以上

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