所属分類: お知らせ 更新日:2021.10.22
2020年1月から、リスクモンスターチャイナは現地日系企業を対象に、取引リスクについてアンケート調査を実施してきました。
期間:2020年1月~2021年9月
対象:現地日系企業
回答回収数:582件 ※質問によって有効回答数が異なる。
ほとんどの日系企業はローカル企業と取引しています。9割以上の日系企業がローカル企業と取引しており、4割が取引先の半分以上がローカル企業と回答しました。
日系企業において、前受金より、掛取引が主流になっています。7割以上の日系企業では、前受金が全体の売上高の30%以下にとどまります。
ローカル企業との取引においても、掛取引が一般的になっています。9割の日系企業がローカル企業に掛売していると回答しました。更に、3割以上の日系企業が50社以上のローカル企業と掛取引をしています。
中国では、回収遅延は取引においてよく発生する事象です。7割の日系企業が最近3年間で回収遅延があったと回答しました。更に、2割の日系企業に貸し倒れが発生しました。
半分以上の日系企業において、与信管理規程やルールが設定されていますが、その具体策である「与信限度額の見直し」「既存取引先の定期的信用調査」「与信限度額と債権残高のモニターリング」の実施状況はいずれも三分の一を下回ります。
半分以上の日系企業が取引先の情報収集に悩んでいます。営業担当者の教育、マインド向上も日系企業にとって大きな課題となっています。現地採用が多い営業担当者において、数値目標達成意識は強いものの、与信管理意識は薄い傾向があります。
しかし、取引先の情報収集に悩みを持ちながら、中国企業信用調査を実施している企業は未だ少数派となっています。8割以上の日系企業が毎年20回以下しか信用調査を実施していません。
ローカル企業以外に、日系企業間の取引は以前から活発でありますが、取引先が日系企業の場合、7割以上の現地法人はその親会社の情報を取得していないあるいは日本本社に任せています。日系企業との取引に対してリスクをあまり感じていない企業が多いことが伺えます。
どのような債権保全策を講じているのかの質問に対して、最も回答数が多かったのは「リスクのある先と取引しない」、2位は「代理店・商社を経由」、3位は「取引信用保険を利用」となっています。リスクを取らないあるいはコストをかけて外部に転嫁する傾向があります。
今後の企業倒産リスクについて、7割以上の企業が増加すると回答しました。取引リスクが高まっていく中、現地日系企業に与信管理の強化が求められます。
2019年年末から世界を席巻するコロナ禍。それが自社の与信取引リスクにどのような影響を与えるかの質問に対して、半数以上の日系企業が不安視しています。企業にはコロナ禍のような想定できない事態に備えた与信管理体制を構築することが求められます。
以上。
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