あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
昨年は全世界で新型コロナウイルスが流行したことで、経済としては大きなダメージをおいました。中国はいち早く経済を立ち直らせGDPをプラス成長させました。しかし、中国国内において全ての業種で回復した訳ではありません。また、今後どの業界にどのような影響がでてくるかもわかりません。今一度、社内の与信管理体制について見直しをすることをおすすめします。
今回は与信管理ルールの構築についてふれたいと思います。
与信管理ルールを作る上で重要になってくるのは、自社取引先のどこにどれだけのリスクがあるかを把握することです。そこで格付と与信限度額を活用してポートフォリオ分析を実施し、取引先全体を把握します。これにより必要なところに効果的に人員や情報コストなどの経営資源を配分する濃淡管理ができ、与信管理を強化・効率化が可能となります。
分析の手順としては、取引先全体のリスク(全社的なリスク)を数値で把握します。そして、リスクの分散状況を把握し、集中的に管理すべき案件を特定します。具体的には取引先に格付を付与し、債権残との分布表を作成します。(ここではA~Fまでの6段階としています。)作成した表をさらに債権額を細かく区切り集計し、図1のような表を作成します。
図1.格付分布表
そして、縦軸に格付、横軸に与信額もしくは債権残をとり、取引先を図の中に落としていきます。左下から右上にかけて入っている斜めの線は格付毎に設定している与信限度額を結んだ線です。この線より左側にある会社はリスクが低い先で、右側になる会社はリスクが高い先となります。
図2.全体のリスク把握図
作成した全体のリスク把握図をもとにルールを策定していきます。貸倒れても影響が小さいと考えられる与信金額の線、少額ラインと、政策的な管理が必要と考えられる与信金額の線、大口ラインを引き、領域別に決裁権限者や管理方法を決めます。
図3.与信管理ルール策定の考え方
そのようにすると①~⑤に分類することができ、それぞれの領域にルールを設定します。
①は少額与信領域なので貸倒れても影響が少なく営業現場に任せた方がスムーズに進むと考えられる領域です。
②は比較的リスクは低く、与信額は大口とはいかない領域で営業部門に任せ、管理コストの抑制を検討すべき領域です。
③は設定している限度額を超える先のため管理部門にてフォローアップが必要な領域です。
④は信用度は高いが大口先のため政策的に管理することが必要です。信用状態の変化に備え管理コストもある程度かけるべき先です。
⑤はリスクが非常に高いため、経営資源を最大限に振り向け、集中管理を行うべき領域です。このような考え方のもと細かくルールを作成していきます。
弊社では取引先への格付付与や全体のリスク分析、与信管理規程の作成、与信管理教育にいたるまでお手伝いをさせて頂いております。
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