withコロナ時代の勝ち組「中国ライブコマース」事情

執筆者: 利墨(上海)商务信息咨询有限公司 逢坂興昌2020/07/02

新型コロナウイルスの影響により、中国では消費が大きく影響を受けておりますが、反対に非接触で買い物ができるオンライン小売が成長しております。その中で注目されているのがオンライン型テレビショッピングともいわれている「ライブコマース」です。

日本ではまだ馴染みがないものだと思いますので、今回は中国ライブコマース事情についてご紹介いたします。

ライブコマースとは?

ライブコマースは、2016年に中国で始まった「ネット販売」と「ライブ配信」を掛け合わせた新しい形のEコマースです。どんな特徴があるのか、最近ではどれだけ注目されているのか、ご紹介していきます。

どんな特徴?

中国版インフルエンサー「KOL(Key Opinion Leader)」が、オンライン上の生配信で商品説明を行い、視聴者の質問、要望に応えながら、販売していきます。商品品質の不安点を解消することができるため、ブランド影響力がない無名の商品でも、商品力で勝負ができる点も、一つのポイントです。

〇特徴まとめ
 ・リアルタイムコミュニケーション~参加、体験を実感~
 ・購入への不安解消~直感的、立体的な詳細説明~

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左:「口紅王子」として有名なKOL李佳琦さん 右:中国トップKOL 薇娅(Viya)さん
筆者の淘宝直播appより

どれだけ注目されているの?

ライブコマースは2018年ごろから徐々に広がり、2019年時点での市場規模は前年比3倍超の4,338億元、2020年ではさらに2倍の9,610億元ともなると予想がされております。また、大型ECセールで有名な「独身の日(ダブル11)」の2019年では、タオバオのライブコマースによる取引量が、開始わずか63分で2018年のダブル11の終日を超えるほど利用が加速しています。

直近2020年5月の配信数では、ダブル11がある2019年4Qの3か月合計と比べ、約2.5倍に増加しており、コロナウイルス発生後さらに成長していることがわかります。外出制限のため娯楽に飢えた消費者のニーズと、お客が店舗に来ない販売側のニーズという、非常時の環境における各要望が上手くマッチしたのが、成長を加速させた要因と言えます。

〇数値まとめ
  2019年市場規模:4,338億元(前年比326%)
  2019年ライブ配信利用ユーザー数:5億10万人(前年比109.9%)
  配信数:2020年5月1,789万回配信(2019年4Q比252%)
  参考※2020年1~3月社会消費品小売総額:78,580億元(昨年同期比▲19.0%)
     2020年1~3月社会消費品オンライン小売総額:22,169億元(昨年同期比5.6%)

参照:艾媒报告|2020-2021年中国直播电商行业运行大数据分析及趋势研究报告

   国家统计局网站

何が売られている?

ライブコマースで販売されている主な商品は、「家具・インテリア製品、キッチン用品、トレーニング機器」などが消費者に人気があり、販売量は前年同期比40%以上増加していると報じられています。

その中でも興味深かったものが、今まで販売されていなかったものも販売されている点です。車や家、ロケットなど、試験段階のものもあるようですが、今まで対面でなければ販売できないと思われていた商品が、販売される時代となっております。

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腾讯网より:ライブコマースで車を販売する様子

中国ライブコマースアプリ

中国では実際どんなアプリが流行しているのか、異なる特徴を持ったアプリのご紹介をいたします。

売上直結型 タオバオライブ(淘宝直播)

リモートツール同様、ライブコマース事業でもアリババ集団は、圧倒的なシェアを誇っています。「タオバオライブ」は、中国ナンバーワンのECプラットフォーム、タオバオのEコマースにライブ配信を付随サービスであり、強力な影響力を持っており、2019年の流通取引総額が市場全体の約半分2,000億元にもなっていると報告されています。

もともとタオバオで買い物をする目的で、サイトに来ているユーザーがほとんどであるため、配信から売上につながりやすいのが特徴です。

ニーズ掘り起こし型 TikTok(抖音)

バイトダンスが運営している「TikTok」は、日本でもショートムービーアプリでお馴染みですが、その得意な動画配信サービス機能に、Eコマース機能を付け加えたライブコマース事業も展開しております。

特徴としては、視聴者ニーズが「動画視聴」なので、買い物目的以外の人も閲覧するところです。動画配信で信頼を得たインフルエンサーが商品を勧め、視聴者が購入するため、潜在的なニーズがある視聴者からでも商品を購入へ促すことができます。

今回の記事は私自身もサービス提供する身として、考えを改めさせられる内容でした。オンライン技術の発展、外出自粛で始まった販売方法の変化など、時代、環境の流れによって、今までで通りの販売手法だけではいけないことを再認識いたしました。

時代に適応するのはもちろんのこと、時代の先を読む力をつけ、常に変化を恐れずに行動をしていきたいと思います。

以上

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