中国での最近人気のサービス・スマホアプリについて

執筆者: 利墨(上海)商務信息咨詢有限公司 副総経理 河原吉虎2018/09/28

今回は、最近の中国で勢いのあるサービス・スマホアプリをご紹介します。

ECサイト・共同購入サイト 拼多多 http://www.pinduoduo.com/

中国でのEコマースといえば、これまで淘宝(タオバオ)と京東(JD.com)の2強でした。拼多多(Pinduoduo Inc.)は2015年に設立された新興の会社で、売上規模で中国3位まで成長しています。3億人が使うECサイトとのこと。そして早くも今年7月にアメリカ・ナスダック市場に株式上場を果たしています。

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拼多多はメディアへの露出も盛んで、いくつもの人気TV番組のスポンサーになっていますし、先日のワールドカップでも頻繁にコマーシャルを流していました。CMでは「ピンドォドォ~、ピンドォドォ~~♪」と繰り返し耳に残る音楽を流していて、中国人の老いも若きもが広く認知しています。
 サービスの特徴としては、SNS(WeChat)連携と共同購入で、ソーシャルメディアを使ってうまく商品の認知から、購買までの導線を作っています。
 また、「安さ」も拼多多の売りの一つですが、他方で、「拼多多は假多多(偽者がいっぱい※假は偽者の意)」と揶揄されるように、偽物の多さも拼多多の特徴です。

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スポーツブランド、アパレルメーカー、欧州の高級鞄メーカー、家電、携帯電話などなど、確かに正規品ではありえない金額で商品が提供されています。
 例えば、下の左側は日本でも人気のストリートブランド・シュプリームと欧州のハイブランド・ルイヴィトンがコラボレーションしたジャケットです。共同購入で2,600円程度です。右のグッチのTシャツは900円弱です。流行っているのでしょうか、街中でもグッチを着ている人をよく見かけます。安いので気軽に着られますね。

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拼多多はこれまで淘宝と京東が拾えていなかった地方都市あるいは低所得者層の支持を受けて成長したと言われています。中国では拼多多は安く、「安心して」まがい物が買えるサービスとして、広く認知・利用されていますが、上場会社となった今後の動向が注目されています。私も何回か拼多多は購入したことがありますが、他のECサービス同様に商品検索から注文、商品到着までスムーズにできました。

ショートメッセンジャーアプリ 子弹短信 https://www.zidanduanxin.com/

中国でのショートメッセージといえば、中国版LINEと呼ばれるWeChat(微信)が主流ですが、最近このアプリ「子弹短信」が急速に伸びています。

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サービス提供からわずか9日間で400万ユーザーが利用するという脅威のスピードで広がっています。

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中国では、音声チャットが頻繁に使われます。タクシーの運転手ですら、音声チャットを誰かとしながら、お客を運んだりします。その際、タクシー車内では運転手の大声と、音声チャットの声が響いたりします。
 「子弹短信」の何が弾丸のように早いかというと、この音声メッセージを即座にテキストに自動変換してチャット表示するというもので、これが特徴でもあります。確かに、音声メッセージは文字を入力するよりも早くて簡単に送信できるのですが、受信する側は、場所によっては聞けない(周囲にも聞こえるので)、聞きたいところだけを聞けない(途中からの音声再生できない)、というものでした。
 このアプリがまさしく弾丸のように広まったということは、中国の人たちも不満に思っていながら使っていた音声メッセージを格段に使いやすくしたものだったからでしょう。ダウンロードした主要なユーザーは30、40歳代の男性が多いとのこと、音声チャットの利便性が高まると、ますます音声チャットがなくならないですね。

ショート動画投稿アプリ 抖音短视频 https://www.douyin.com/

中国で若者の間で大人気なのが、このビデオ投稿の抖音(Douyin)で2018年第一四半期に世界で最もダウンロードされたアプリです。アクティブユーザーが5億を超えるという驚異的なアプリです。

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利用者は音楽に合わせて踊ったり、歌ったり、面白い動きを見せたり、それを15秒間という短さにまとめて投稿します。対象も多岐に渡り、ダンスやスポーツだけでなく、旅行、飲食、動物など様々なジャンルの動画が登場します。撮影場所も様々で、自宅やショッピングセンターのような場所はもちろん、キャビンアテンダントや医者のような職業の方も職場(機内や病院内)で撮影した動画を投稿していたりします。
 日本のコンテンツも人気で、バスケットボールのアニメ・スラムダンクは中国でもまだまだ人気がありますが、スラムダンクに登場した高校の前や、電車の踏み切りの前の動画をよく見ます。
 日本でも「TikTok」というアプリ名で10歳代の若者の間で流行っているようです。大人になって社会に出てから、自分が見て恥ずかしくなるような記録をソーシャルに発信してしまうのはいかがなものかと思うのは古い考えでしょうか。
 中国でも日本でも、まわりと同じことをやる、もしくは、まわりと少し違うことをやる、少しうまくやる。ということが、若者のコミュニティでは重要なのかもしれません。

流行っているアプリの理由を見ていくのは興味深いですね、中国は市場規模が大きいので、ニッチを狙っても十分に大きい規模があります。

以上

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