中国の電子マネーお年玉(紅包)

執筆者: 利墨(上海)商務信息咨詢有限公司 副総経理 有井次郎2016/02/17

中国の電子マネーについては以前コラム「中国における『電子決済」について」でも紹介しましたが、旧暦新年春節のお年玉(紅包)で、その凄さを改めて感じました。
 ちょうどこのコラムを書いている現在は中国の春節中で、中国版LINEである微信WeChatのグループでは友人や会社の同僚上司部下に電子マネーで紅包を互いに送っています。

電子マネー紅包の流通量

微信WeChatを運営するテンセント社が発表した内容によると、旧暦大晦日2016年2月7日の24時間で「微信WeChat」紅包」に参加した人数は4.2億人、送付された紅包は80億個以上(昨年の8倍)、平均1人あたり20個送受信したことになります。お正月になった当日の深夜12時には1秒間で最大40万個も紅包が発行されました。
 一番多いユーザーで1日に5,279個の紅包を受領した「人気者」や79,193個の紅包送付した「太っ腹」な人もおります。また、微信だけでなく、もう1つの2大電子マネーであるアリペイも同じく紅包キャンペーンを実施しました。

電子マネー紅包の使用方法

紅包は微信WeChat上のグループに対して、送付する人数と金額を決めて2種類の方法(ランダムor固定)で送付し、早くクリックした人が先着順で受領できる仕組みになっています。特に人気なのがランダム方式で、誰がいくら受け取ったかは、リアルタイムに画面上に表示されます。
 送付する額も比較的少額で、人気の金額は8.88(168円)、6.66(126円)、88.88(1,687円)などです。※中国では「8」が縁起良い数値と言われています。

微信WeChat画面

企業における電子マネー紅包の活用

興味深いのは、今年から各企業がこの紅包を使い、オフライン・オンライン両方で社員とのコミュニケーションに使っている点です。
 春節の1~2週間前に企業は忘年会を開催するのが中国企業の恒例で、全従業員が参加し、一緒に食事をするだけでなく、踊りや歌、ビンゴゲームなどをして盛り上がります。
 私も、今年は3つの中国企業の忘年会に取引先として参加させて頂きましたが、3つとも忘年会(オフライン)に参加する全社員を微信WeChat(オンライン)でグループ登録して運営していました。
 忘年会の終盤に、社長や上司たち前に出て、この微信WeChat上の全社員グループに対して、紅包を送ります。この時は人数を少人数に限定して、比較的大きな金額(今年は最大で1回200元の制限になっていました)を送り、誰が当たったか、と盛り上がります。ビンゴゲームに近い感覚です。
 紅包を送付した老板(ラオバン/社長・ボスの意味)に対して、下のような「謝謝老板(ありがとうボス)」とうユニークなコメントが返ってきたり、忘年会の写真が共有されたり、忘年会の最中もこの微信WeChat上ではチャットが常に賑わっています。

紅包を送った後に返信されるメッセージ例

そして、このグループは忘年会当日だけでなく、休暇に入ったお正月や大晦日でも会社全社員グループで紅包を送り合い、その他新年を迎えるお祝いの言葉がたくさんチャットされ、会社全社員の一体感を持って、正月を迎えております。
 私も、中国人の部下を持つ老板として、この電子マネー紅包を有効にかつ楽しく活用したいと思います。

以上

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